当団体による養子縁組あっせん事業の終了について

 今年4月1日、「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」が施行されました。この法律では、養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、事業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可が必要になります。許可を得るには、まず法人格を持つ団体であることが必要であり、また社会福祉士などの資格を有する職員が必要などの条件がいろいろあります。小さないのちを守る会は現状のままでは条件を満たすことができませんので、どう対処すべきかを話し合って来ました。

 

 その結果、小さないのちを守る会は、胎児の人権を守るため、妊娠中絶の防止を目的とする団体であり、養子縁組は目的を達成するための一つの手段であったことを確認しました。

 

 発足当初とは、社会的な状況も変わりました。以前は養子縁組への理解が乏しく、希望者も少なかったので、養子を育てる意義を教え励ますことも大切な働きでした。しかし今では望んでもお子さんが与えられないご夫妻など、養子を希望する方が非常に多くなったのです。ニーズの高まりから養子あっせん団体も増えました。また、産む決意をした人が、妊娠を告白した上で結婚したり、シングルで育てるというケースも多くなりました。以前は養子縁組をする用意なしには産むように励ますことも難しかったのが、必ずしもそうではない状況に社会が変わって来たのです。

 

 今でも妊娠に悩む方は非常に多いので、中絶しないで産むように励ます必要性は全く変わりません。その意味で当団体の活動は続けなくてはならないと思っていますが、養子縁組あっせん事業に関しては、法律施行にともない終了いたします。

 

 これを契機に、私たちは小さないのち(胎児)の人権を守る活動に注力したいと思っております。引き続き、望まなかった妊娠で悩む方のご相談には積極的に対応いたします。その結果、養子縁組がどうしても必要な場合は、許可を得ている他団体にその部分をお願いするということになるかもしれません。いずれにしても、一人でも多くの小さないのち(胎児)を守ることができるよう、活動を続けたいと願っております。

 

 これまで、ご支援くださった方々の中には、養子あっせん団体として当団体を支援してくださった方も多くおられると思います。これまでのご支援、本当にありがとうございました。実際に多くの赤ちゃんをお世話することができたのは、ご支援があったからです。もしも、養子縁組をしなくとも、小さないのちを守る活動の趣旨に賛同していただけますならば、引き続き本会の働きを支援していただけますよう、よろしくお願いいたします。

 

 2018.5.18 小さないのちを守る会
        理事長  辻岡健象
        理事   高橋典  神田英輔  小坂田環暢  國分広士